最近、迷惑YouTuberの一形態として、不謹慎系YouTuberが話題になっています。
今回は、こうした不謹慎系YouTuberの行為を裁く方法を徹底検証していきます。
この記事に共感していただける方は、ぜひシェアしていただけると幸いです。
- 不謹慎系YouTuberとは?
- なぜ不謹慎系YouTuberが生まれるか
- 不謹慎系YouTuberと利用規約の関係
- 不謹慎系YouTuberの法的責任
- 不謹慎系YouTuberを撲滅するには?
- 「私刑」は絶対にしてはならない
- まとめ
不謹慎系YouTuberとは?
そもそも、不謹慎系YouTuberとは何でしょうか。
不謹慎
つつしみのないこと。また、そのさま。ふまじめ。
不謹慎とは、「つつしみのないこと」を意味します。
そして、不謹慎YouTuberとは、事件や事故、訃報など、慎むべき事柄について、あえて社会感情を逆なでするような「不謹慎な態度」をとることで、世間の注目を浴びようとするYouTuberのことを言います。
例えば、
・事件の犯人や犯人の関係者へのなりすまし動画
・著名な個人(故人)や個人の関係者へのなりすまし動画
・個人(故人)への侮辱的発言を行う動画
こういった動画を投稿するYouTuberが、不謹慎YouTuberとして社会問題化しています。
なぜ不謹慎系YouTuberが生まれるか
ではなぜ、不謹慎系YouTuberが生まれるのでしょうか。
ほとんどの場合、不謹慎系YouTuberは、不謹慎な動画を出すことで、視聴数やコメント、チャンネル登録など、視聴者からの反応を得ることを目的としています。
不謹慎系YouTuberの特徴は、特定の個人に恨みがあるから当該個人に関する動画を挙げるのではなく、単に話題になっているから、その人物を取り上げるのです。
これは、単なる愉快犯の場合もあれば、収益化のための炎上商法として行っている場合もあります。
例えば、「犯人や「故人の息子」勝手に自称 「不謹慎系ユーチューバー」が増え続ける理由」の記事では、不謹慎系YouTuberに実際インタビューを行っています。
記事によれば、最初は普通に活動していたが、ハードルの高さを感じて方針を変えた例もあり、収益化のために「不謹慎系」に走る事例があることがわかります。
また、この記事によると、実際に一定のファンがいて、登録者数や再生数も伸びているのが現状であることがわかります。
このように、不謹慎系YouTuberは、自己満足や収益化のために、「注目されたい」という思いが強い場合が多いのではないかと思います。
不謹慎系YouTuberと利用規約の関係
では、不謹慎系YouTuberは、YouTubeの規約上許されるのでしょうか。
YouTubeは、企業等からの広告料を主たる収益源とする動画投稿サービスです。
そのため、企業や広告主のイメージを損ねるような動画は規約上排除されており、不謹慎系YouTuberの動画は、これらの規約に違反する可能性があります。
規約には、(1)動画やチャンネルが削除されるもの、(2)広告による収益化が停止または制限されるものの二段階があります。
以下、それぞれ見ていきましょう。
(1) 動画及びチャンネルが削除されるもの
① なりすまし動画
なりすまし行為は、なりすましに関するポリシーで禁止されています。
他人や他のチャンネルになりすますことを目的としたコンテンツは、YouTube で許可されていません。
チャンネルのなりすまし: 他人のチャンネルであるかのように見せかける方法でそのチャンネルのプロフィール、背景、または全体的なデザインをコピーしたチャンネル。別のチャンネルをコピーするという意図が明確であれば、チャンネルが完全に同一でなくてもこれに該当します。
個人のなりすまし: 他人が投稿しているように見せることを意図したコンテンツ。
不謹慎系YouTuberには、他人になりすまし、不愉快な言動を行う者もいますが、他人になりすましたチャンネルや動画は、最終的に削除される可能性があります。
なりすましに関しては、「なりすまし」行為はYouTubeの規約違反!有名人と同じ名前は使っちゃだめ?の記事もご参照ください。
② 視聴者に衝撃や不快感を与える動画
YouTubeでは、暴力的、残虐内容を含む動画は禁止されています。
視聴者に衝撃や不快感を与えることを目的とする暴力的または残虐なコンテンツ、もしくは他のユーザーに暴力行為を促すコンテンツは、YouTube で許可されていません。
具体例として、以下のものが挙げられています(一部抜粋しています。)。
・交通事故、自然災害、戦争直後の状況、テロ攻撃直後の状況、路上でのけんか、暴行、性的暴行、侮辱、拷問、死体、抗議行動や暴動、強盗、医療行為などを含み、視聴者に衝撃や不快感を与えることを目的とする映像、音声、画像
・動物に不必要な苦痛や危害を故意に与えるコンテンツ
・人間が動物同士の戦いをけしかけたり、強制したりするコンテンツ
・上記に該当するコンテンツを脚色した(または架空の)映像で、それが脚色されている(あるいは架空である)ことがわかる十分な情報が視聴者に提供されていないもの
このポリシーが禁止しているのは、暴力的または残虐なコンテンツですが、禁止されるコンテンツの例示を見ると、この「暴力的」には、「侮辱」を含むものと思われます。そのため、他者を侮辱する動画は、その侮辱の態様によっては、暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシーに違反する可能性があります。
架空であることが適切に示されていない事故等の架空の映像も、具体例として挙げられています。そのため、事故の被害者等を装った動画のうち、特殊メイク等で生々しい傷を演出するなどした場合も、暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシーに違反する可能性があります。
「動物に不必要な苦痛や危害を故意に与えるコンテンツ」や、「人間が動物同士の戦いをけしかけたり、強制したりするコンテンツ」も例示として含まれており、動物虐待を行うような動画も、暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシーに違反する可能性があります。
③ 犯罪行為を称賛する動画
暴力犯罪組織を称賛、宣伝、支援することを目的としたコンテンツは、YouTube では許可されていません。こうした組織は、勧誘を含むいかなる目的でも YouTube を使用することが許可されていません。
具体例として、以下のものが挙げられています(一部抜粋)。
著名なテロリストや犯罪者を称賛したり記念したりして、暴力行為を助長するコンテンツ
例えば、有名な事件の犯罪加害者を称賛することで、被害者らに不快感を与えるような動画は、「著名な」犯罪者を称賛するコンテンツに該当し、暴力犯罪組織に関するポリシーに違反する可能性があります。
もっとも、「暴力犯罪組織」というポリシーの名称や、「著名な」という文言から、適用対象は限定的である可能性があります。
④ ヘイトスピーチを行う動画
YouTubeでは、ヘイトスピーチも禁止しています。
個人に対する脅迫を含むコンテンツは YouTube で許可されていません。また、保護対象グループへの所属や身体的特徴などの本来備わっている属性に基づく、個人を標的とした長期に及ぶまたは悪意のある侮辱を含むコンテンツも許可されていません。
ヘイトスピーチは、多義的な概念であるため、YouTubeにおけるヘイトスピーチが何を意味しているのかを正しく把握することが大切です。
以下では、不謹慎系YouTuberとの関係に絞って解説してみます。
ヘイトスピーチは YouTube で許可されていません。次のいずれかの特性に基づいて個人や集団に対する暴力や差別を助長するコンテンツは削除されます。
・年齢
・カースト
・障がい
・民族
・性同一性や性表現
・国籍
・人種
・在留資格
・宗教
・性別 / ジェンダー
・性的指向
・深刻な暴力的出来事の被害者とその親族
・従軍経験
なりすましの内容によっては、上記の「特性に基づいて個人や集団に対する暴力や差別を助長する」ものとみなされる可能性があります。
例えば、犯罪の加害者又は被害者になりすます行為は、「深刻な暴力的出来事の被害者とその親族」という特性に基づいた暴力や差別を助長する行為とみなされる可能性があります。
そして、「暴力や差別を助長する」とは具体的にどのようなものなのか、YouTubeはクリエイター向けにさらに具体的に記載しており、以下のコンテンツを禁止することを明確にしています。
上記の特性に基づいて個人や集団に対する暴力を助長する。YouTube では脅迫は許可されません。暴力行為の予告は間接的であっても現実の脅迫と見なされます。
上記の特性に基づいて個人や集団に対する憎悪を扇動する。
個人や集団を動物、昆虫、害虫、病気、またはその他の人間以外の存在に例えるなどして非人間的に扱う。
上記の特性に基づいて個人や集団に対する暴力を称賛または美化する。
上記の特性に基づいて、人種的、宗教的、またはその他の中傷手段や固定観念を使用して、憎悪を扇動または助長する。こうした固定観念を助長するか、それを事実として扱うスピーチ、テキスト、画像も含まれます。
上記の特性に基づいて、個人や集団が肉体的または精神的に劣っている、欠陥がある、罹患していると主張する。これには、ある集団が他よりも劣っている、知能や能力が低い、価値がないなどと決めつけることも含まれます。
暴力、差別、隔離、排除を正当化するために、上記のいずれかの特性を持つ集団に対する優位性を主張する。
上記のいずれかの特性に基づいて、個人や集団が悪や不正の原因であるとする陰謀論。
上記のいずれかの特性に基づいて、個人や集団に対する征服や支配を求める。
十分に裏付けられた証拠のある過去の暴力的な出来事を否定する。
ある人物が他の人物に対して抱く感情的、恋愛的、性的な関心を攻撃する。
差別的で至上主義的なプロパガンダが含まれるコンテンツ(そのようなイデオロギーを持つ集団への参加者の募集や経済的支援の要請を含む)。
歌詞、メタデータ、画像の中で差別的な至上主義を奨励するミュージック ビデオ。
そして、これらの具体的な例として、以下の例を提示しています。
「この [暴力事件] が起こってよかった。[上記の特性を持つ人] の自業自得だ。」
「[上記の特性を持つ人] は犬だ。」または「[上記の特性を持つ人] は動物のようだ。」
「[上記の特性を持つ人] を殴りに行こう。」
「[上記の特性を持つ集団] はみんな犯罪者で凶悪だ。」
「[上記の特性を持つ人] は人間のくずだ。」
「[上記の特性を持つ人] は病気だ。」
「[上記の特性を持つ人] は、脳が小さいから自分たちよりも低知能だ。」
「私たちの存在にとって [上記のいずれかの特性を持つ集団] は脅威だから、奴らをことごとく追放すべきだ。」
「[上記のいずれかの特性を持つ集団] は、世界征服して私たちを一掃することをもくろんでいる。」
「[上記の特性] は単なる精神病の一種で、治療が必要だ。」
「[上記のいずれかの特性を持つ人] は教育するにまったく値しないから学校で教育を受けるべきではない。」
「この暴力的な出来事の被害者と呼ばれる奴らは役者で、誰も傷ついておらず、単なる見せかけにすぎない。」
他者に向かって「障がい者は害虫だ!」と叫ぶ(その人物が障がいを持っていない場合でも)。
性同一性や性表現を表明した人物に対して「虚構だ」と中傷する。
「この事件の被害者と呼ばれる奴らは役者で、誰も傷ついていない。」
他者に対して「[上記の特性を持つ人] は害虫だ!」と叫ぶ(実際にその人物がその特性を持っているかどうかにかかわらず)。
上記のいずれかの特性に基づいて集団に対する暴力や憎悪を助長するために開発または修正(改造)されたビデオゲームに関するコンテンツ。
このように、不謹慎系YouTuberとヘイトスピーチは、一見関係ないように見えますが、不謹慎系YouTuberの動画が、YouTubeが禁止するヘイトスピーチに該当する可能性は十分にあり得ます。
⑤ プライバシーを侵害する動画
YouTubeでは、プライバシー侵害となる動画も禁止しています。
なお、プライバシー侵害に該当するかどうかを判断するにあたっては、情報の内容が真実であるかどうかを問わないのが一般的です。
真実かどうかを明らかにすること自体が、プライバシー侵害に該当してしまうからです。
つまり、「内容が正しいからプライバシー侵害だ」、「内容が間違っているからプライバシー侵害ではない」という判断基準でプライバシー侵害かどうかを判断し、動画を削除するかどうかを決定してしまうと、動画が削除されればその内容が真実であったということになり、削除されなければ虚偽であった、ということになってしまい、かえってプライバシーを侵害する結果になってしまうわけです。
問題は、その内容が「真実らしく見えるかどうか」ということです。
これを踏まえて、YouTubeの規約を見てみましょう。
YouTube では、潜在的なプライバシーの問題に対応することでユーザーの皆様を保護しています。
お住まいの国の法律では問題がない動画でも、YouTube のプライバシー ガイドラインには違反する可能性があります。
と際しており、法律上の規制より広くとらえている可能性があります。
顔写真、音声、フルネーム、政府発行の個人番号、銀行口座番号、連絡先情報(例: 自宅の住所、メールアドレス)など、個人を一意に特定できるコンテンツは削除の対象となります。また、プライバシー違反として削除の判断をする際には、公共性や報道価値なども考慮されます。YouTube は、プライバシー·ガイドラインの違反が発生したかどうかの最終決定を行う権利を有します。
一意に特定できるとは、他人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれていることを意味します。単に動画に写っている個人が確認できるだけでは、一意に特定できるとは見なされませんので注意してください。たとえば、下の名前だけで他の情報が含まれない場合や、チラッと映っているだけでは、一意に特定できるとは言えません。
このように、フルネームを用いてなりすましているような不謹慎系YouTuberの動画は、YouTubeプライバシーガイドラインに違反する可能性があります。
(2) 広告が停止または制限されるもの
YouTubeに投稿された動画が、広告掲載に適したコンテンツのガイドラインに反するものであった場合、広告が表示されない、制限されることになります。
以下では、不謹慎系YouTuberの動画に該当する可能性のある項目をご紹介します。
① 不適切な表現
他人を冒涜するような動画は禁止されています。
ひどく冒とく的または下品な表現を繰り返し使用しているコンテンツは広告掲載に適していません。ミュージック ビデオなどで不敬な表現をたまに使う程度であれば、広告掲載に不適切になるとは限りません。
そして、具体例として、以下の例をあげています。
タイトルまたはサムネイル画像に冒とく的な表現(誤字脱字を含む)が含まれている
動画の冒頭で非常に冒とく的な表現(放送禁止用語など)が使用されている
不謹慎系YouTuberの動画が、他人を冒涜するような言動を繰り返し含む場合、不適切な表現に該当する可能性があります。
そして、「はじめまして、私は●●です。××をしてしまった私は本当に人間として最低です。」といったような、他人になりすましたうえで、自分を否定するような動画も、不適切な表現に該当する可能性が高いと考えて良いと思います。
② 差別的なコンテンツ
差別的な動画も広告掲載の対象から外されています。
以下に基づいて個人またはグループに対する憎悪をあおる、差別を助長する、あるいは誹謗中傷するコンテンツは、広告掲載に適していません。
・人種
・民族や出自
・国籍
・宗教
・障がい
・年齢
・従軍経験
・性的指向
・性同一性
・組織的な人種差別や疎外に結び付くその他の特性
風刺やコメディーはその限りではありませんが、おもしろさを意図していると言うだけでは不十分で、そのコンテンツは広告掲載の対象とならないことがあります。
そして、具体例として、以下の例が挙げられています。
他者に対する暴力を助長、美化、容認するコンテンツ
個人やグループが非人道的である、劣っている、排斥に値すると他の人が信じるように促すコンテンツ
ヘイトグループまたはヘイトグループが使っているアイテムを宣伝するコンテンツ
例えば、暴行事件を正当化するような動画は、被害者に対して差別的な動画として、広告掲載の対象から外される可能性があるでしょう。
③ 炎上目的、侮辱的
少し前に話題になりましたが、炎上目的、侮辱的な動画も広告掲載の対象から除外されました。
不当に炎上を招く、扇動する、または他者を侮辱するコンテンツは広告掲載に適していません。
具体例として、
炎上を招く、他者を侮辱するコンテンツ
個人やグループを辱める、侮辱することに焦点を当てたコンテンツ
個人もしくはグループに対する嫌がらせ、威嚇、いじめに当たるコンテンツ
個人を名指しで罵る、中傷するコンテンツ
悲劇的な出来事が実際には起きていないと示唆したり、犠牲者やその家族は実は俳優である、または出来事の隠蔽に加担しているとほのめかしたりするコンテンツ
個人に対する悪意のある攻撃、中傷、名誉毀損
などを挙げています。
不謹慎系YouTuberの動画が炎上目的、侮辱的である場合は、比較的多いように思います。
④ 物議を醸す問題やデリケートな事象
物議を醸す問題やデリケートな事象も、広告掲載の対象から外されています。
「物議を醸す問題」とは、ユーザーを動揺させる可能性があり、多くの場合、人類の悲劇の結果であるトピックを指します。
「デリケートな事象」とは、通常、事前に計画された悪意のある攻撃の結果として命が失われた不慮の事象のことです。デリケートな事象が発生すると、一般の人々は、死を悼む反応や、時には過度な反応、感情をあらわにした反応を示すこともあります。比較的最近発生した事象でないと、デリケートな事象とは見なされません。歴史上の出来事は、ドキュメンタリーや歴史的議論のコンテキスト内で扱う場合、一般的に収益化可能です。
物議を醸す問題としてはい、以下のような項目が例示されています(一部抜粋しています。)。
自傷行為
自殺
デリケートな事象
人の命が失われた残虐な行為(銃乱射事件など)
武力紛争
死
不幸な出来事
不謹慎系YouTuberの動画が、物議を醸す問題や、デリケートな事象に関する動画である場合は極めて多いと思います。
不謹慎系YouTuberの法的責任
では、不謹慎系YouTuberの法的責任はあるのでしょうか。
現行法上、不謹慎系YouTuberが、名誉棄損罪、侮辱罪、業務妨害罪、信用棄損罪など、別途犯罪行為に当たらない限り、不謹慎系YouTuberを直接に取り締まる法律はありません。
また、「動画投稿」も表現であり、憲法の保障する「表現の自由」により守られるべき「表現」です。
そのため、その表現を法的に制限することにも限界があり、不謹慎系YouTuberを広く法律で取り締まることは、表現の自由を不当に制約する恐れがあるため、困難といえるでしょう。
したがって、不謹慎系YouTuberが、名誉棄損罪、侮辱罪、業務妨害罪、信用棄損罪など、別途犯罪行為に当たらない限り、法的に取り締まるのは難しいのが現状です。
不謹慎系YouTuberを撲滅するには?
上記を踏まえて、不謹慎系YouTuberを撲滅する方法を考えてみましょう。
① 批判しない
不謹慎系YouTuberは、批判されることを承知でやっている場合がほとんどだと思います。
そのため、SNS上や、コメント欄での批判は、むしろ不謹慎系YouTuberを満足させることになってしまい、彼ら・彼女らは、より不謹慎系の動画をアップロードしようと考えることになるでしょう。
つまり、批判するということは火に油を注ぐようなもので、逆効果になるわけです。
不謹慎系YouTuberは、視聴数や反応が欲しいために不謹慎であることを知りながら、あえてそうした動画を投稿しているのです。
視聴数や反応がとれないと分かれば、自然とやめていくはずです。
② 動画を再生しない
①と同様の理由から、再生するべきではありません。
また、再生数が増えれば増えるほど、YouTube上の評価は高まり、検索で上位に表示されたり、関連動画として表示されたりしやすくなります。
そのため、出来るだけ、再生しないことが大切です。
③ 途中で視聴をやめる
これも、①②と同様の理由です。
再生時間はYouTubeのアナリティクスから確認することができます。そのため、再生時間が長くなればなるほど、不謹慎系YouTuberは満足感を得ることになります。
また、再生時間が長くなればなるほど、YouTube上の評価は高まり、検索で上位に表示されたり、関連動画として表示されたりしやすくなります。
そのため、仮に動画を視聴してしまったとしても、不謹慎系YouTuberと分かった場合には、視聴するのを途中でやめましょう。
④ コメント、高評価、共有をしない
これも、①②と同様の理由です。
「こんなひどい動画があるんだよ」と友人におススメする行為などは、YouTube上の評価を高め、検索で上位に表示されたり、関連動画として表示されたりしやすくなる可能性があります。
また、こうした共有についても、YouTubeのアナリティクスから確認することができるため、不謹慎系YouTuberの満足感につながります。
⑤ チャンネル登録をしない
これも①②と同様です。面白がってチャンネル登録をすることは、不謹慎系YouTuberを応援することにほかなりません。
また、広告収入を得るためには、1000人のチャンネル登録者が必要になります。チャンネル登録をすることは、収益化を手助けすることに他なりません。
⑥ 低評価もしない
低評価をすると、動画自体の評価が下がり、YouTube上でおすすめされる頻度を下げることが期待できるかもしれません。
しかし、不謹慎系YouTuberにしてみれば、視聴者の反応を得られることが楽しいのであり、低評価も満足感につながる可能性があります。
⑦ 拡散しない
これも①②と同様です。拡散は、逆効果で、不謹慎系YouTuberにとっては、むしろ喜ばしいことになります。
また、不謹慎系YouTuberへのインタビュー記事にもあるように、一定数のファンがいることが、彼ら・彼女らの活動を支えています。
そして、こうした動画には、残念ながら、一定数のファンがついてしまうものです。
裏を返せば、不愉快だと思って動画を拡散したところで、動画が拡散すれば拡散するほど、ファンが多くなり、不謹慎系YouTuberの活動を支えることになります。
⑧ YouTubeに報告する
報告数が増えれば、YouTubeが認知する可能性も高まります。
YouTubeは、不適切なコンテンツがある場合、報告するよう視聴者に求めています。
詳細は、不適切なコンテンツの報告のページをご覧ください。
利用規約の部分で説明したとおり、不謹慎系YouTuberの動画が規約に反するかどうかは、一つ一つしっかりと視聴したり、背景事情を知っている者からすれば容易にわかりますが、日々大量の動画をチェックしているYouTubeからすると、結構わかりにくいものです。
例えば、暴行シーンや、医療行為などは、見るだけでわかりますが、なりすましは、一見すると人がただ話しているだけの動画です。
そのため、報告の際は、報告の対象となる動画が、何故規約違反になるのかがわかるように、詳細に報告するようにしましょう。
ただ、虚偽の報告は絶対にしてはいけません。虚偽の報告を繰り返せば、それ自体が業務妨害行為となる可能性があります。
⑨ 刑事告訴・刑事告発
不謹慎系YouTuberの動画が、刑事犯罪に該当するような場合は、警察への通報や、刑事告訴・刑事告発など、しかるべき手段をとりましょう。
個人攻撃やネット上の迷惑行為は大きな社会問題になりつつあり、いつ逮捕者等が出てもおかしくない状況です。
逮捕者が出て報道されれば、抑止効果になる可能性があります。
ただし、違法行為でもないのにむやみに通報する行為は、警察の業務を妨害する行為になるので、絶対に避ける必要があります。
「私刑」は絶対にしてはならない
不謹慎系YouTuberを擁護するわけではありませんが、「犯罪行為をしたから」といって、個人攻撃をしていいわけではなく、まして「不愉快である」からと言って、個人攻撃をしていいことにはなりません。
不謹慎系YouTuberを晒上げるような行為、いわゆる「私刑」を行った場合、それは不謹慎系YouTuberとやっていることは変わらないといえるでしょう。
また、そうした「私刑」行為自体が、著作権侵害を伴ったり、名誉棄損罪・侮辱罪に該当する行為となったり、犯罪行為となってしまう場合さえあり得ます。
たとえ、不謹慎系YouTuberがどんなに不愉快で、不謹慎であったとしても、個別に攻撃するのではなく、個人を特定しない形での問題提起に留め、社会全体や、YouTubeを動かすことで、こうした問題を解決するのを誘導したり、また、正攻法(上記で紹介した撲滅方法)で戦うのが最善の策です。
「目には目を歯には歯を」という考え方では、それ自体が迷惑行為となってしまい、せっかく正しい問題提起であっても、その正当性は失われてしまいます。
まとめ
以上のとおり、YouTubeの利用規約にも、法律にも触れない不謹慎系YouTuberの動画は、残念ながら、排除するのは難しいのが現状です。
しかし、利用規約に反するものについては、地道に報告をすることで排除することができるはずです。
また、不謹慎系YouTuberの問題がより認識されるようになれば、企業としても、そういった動画に広告を出したくないと積極的に考えるようになります。
そうなれば、YouTubeは規約を変更し、本腰を入れてこうした動画の排除に動くはずです。
実際に、YouTubeは、YouTuberによる炎上が社会問題になっていることを踏まえ、2019年6月にガイドライン変更を行い、炎上系の動画を収益化の対象外としました。
また、同じく2019年6月に、ヘイトスピーチに関する動画も、社会情勢を受けてガイドライン変更がなされ、動画やチャンネルの削除の対象となっています。
そして、YouTubeは、YouTube Official Blog(英語版)にて、上記のガイドライン変更を踏まえ、2019年4月から6月の間に、ヘイトスピーチポリシー違反を理由とし、10万本を超える動画を削除し、1万7000件を超えるチャンネルを削除したことを発表しています。
このように、正攻法によっても、十分排除されていくことが予想されます。
気に入らない動画があったとしても、自分自身が加害者とならないように、あくまでも正攻法で攻めることが大切です。
また、YouTuberの方やYouTuberになろうとする方は、不謹慎系YouTuberが広告媒体としての価値がとても低く、いずれシステムによって淘汰されていくものであることをしっかりと認識し、こうした動画に走らないことも大切です。
冒頭でも述べましたが、一人一人の努力が、こうした不謹慎系YouTuberの排斥につながります。
共感していただける方は、ぜひシェアしていただけると幸いです。