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YouTuber向けに優しく解説!民事責任と刑事責任の違い(弁護士監修)

 

 みなさん、よく警察は民事不介入、という話を聞くかと思いますが、その意味ってご存知ですか?

 

 今回は、刑事責任と民事責任の違いについて、簡単に説明します。

 

 

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刑事責任って何?

 

刑事責任の意味

 

 刑事責任というのは、個人(加害者)が国家から問われる責任です。

 

 言い換えれば「刑事罰」であり、殺人罪や、傷害罪、著作権侵害など、法律によって禁止行為が規定されており、それに違反した場合に、罰が与えられるものと法律で定められているものをいいます。

 

 刑事罰は、あくまでも、加害者の加害行為について、国家が刑事罰を科すか科さないかの問題であり、被害者にはその決定権限はありません。

 

 つまり、被害者が処罰を望もうが、望むまいが、最終的に処罰するかどうかは、国家が決めます(国家が被害者の処罰意思を参考にすることはあります。)。

 

 

刑事責任に関する手続きの流れ

 

 上記で、“国家”と言いましたが、具体的には、まずは行政府である検察官が(以下③参照。)、最終的には司法府である裁判所が決定します(以下⑤参照。)。

 

 そして、刑事責任の有無を決定する流れは、基本的には、以下の①から⑤のようになります。

 

① 警察が犯罪事実の有無について捜査をする。

② 警察が、検察に、捜査した事件を送る(これを“送検”といいます。)

③ 検察が、追加で捜査をし、被疑者を裁判にかけるかどうか(起訴するか、不起訴とするか)を決定する。不起訴とされた場合には、基本的には刑事罰は科されない。

④ 起訴された場合、検察が、被告人の犯罪事実を主張し、被告人は自己の無罪や、情状酌量を主張し、それぞれ必要な立証を行う。被告人には、法的な知識が乏しいため、これを補うべく、弁護士が弁護人として被告人を弁護する。

⑤ 裁判所が、中立の立場から、検察官の主張が正しいのか、被告人の主張が正しいのかを判断する。

 

 ※起訴されるまでを被疑者といい、起訴された後を被告人と言います。

 

起訴前(①-③)

 

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起訴後(④・⑤)

 

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 ちなみに、ニュース等でよく、「送検」という言葉を耳にするかと思います。

 

 身柄送検とは、逮捕した被疑者について、事件(及び身柄)を、警察から検察へ送致することをいい、書類送検とは、逮捕していない被疑者について、事件を、警察から検察へ送致することを言います。

 

 ニュースなどでは、「送検された!」と一大事のように報道していますが、警察が捜査を開始した場合、(微罪処分が可能な軽微な犯罪の場合を除き、)100パーセント送検しなければならず、被疑者の送検の報道には、疑問を抱かざるを得ません。

 

 

被害者は何もできない?

 

 上記の通り、加害者の刑事責任を問うためには、警察に捜査してもらい、検察に起訴してもらう以外に、方法はありません。

 

 しかし、警察が動いてくれない、なんてことはよく耳にする話です。

 

 

警察が動かなければ、泣き寝入りするしかないのか?

 

 

 刑事訴訟法230条には、「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。」と規定されており、被害者は、告訴することができます。

 

 告訴とは、犯罪事実を告げ、処罰を求める意思表示のことを言います。

 

 被害届を提出する、という話を聞いたことあるかもしれませんが、被害届と告訴の決定的な違いは、この「処罰を求める意思表示」を伴うかどうかです

 

 警察としては、被害届を受理したところで、捜査をする義務も生じなければ、それを事件として処理する必要、つまり、送検する必要も生じません。

 

 そうすると、被害届の場合、警察が任意に動かない限り、被害者はどうすることもできません。

 

 しかし、被害届の提出ではなく、告訴をした場合には、「司法警察員(※要は警察です。)は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」(刑事訴訟法242条)と法律で定められているため、警察はこれを事件として、検察に送致する義務が生じます

 

 このように、被害者としては、「告訴」をすることで、事件として処理させることが可能となります。

 

警察は事後的な捜査だけ?

 

 警察官職務執行法第5条には、「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があつて、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。」と規定されており、目の前で現に犯罪行為が行われようとしているときは、これを制止することもできます

 

 

民事責任って何?

 

 

 民事責任というのは、個人(法人)と個人の関係で問われる責任です。

 

 契約を締結した相手に対して、その履行を求めるような場合や、自分の権利を侵害された場合に、お金を請求する場合などがこれに当たります。

 

 言い換えれば、Aさんが、Bさんに対して、「100万円をはらえ」といえるのか、「●●をやめろ」といいえるのか、というレベルの話です。

 

 

具体例の検討

 

 例えば、Aさんが理由もなくBさんを殴って、けがをさせたという場合を考えてみます。

 

 Aさんは、殴ってけがをさせており、刑事責任として、傷害罪が成立する可能性があります。

 

 また、Aさんは、Bさんに対して、民事責任として、治療費や慰謝料等、一定の金額を支払う義務を負います。

 

 警察が、上記の現場に居合わせた場合、Aさんの行為は、犯罪行為に当たるため、それを止めることができますし、警察が、Bさんによる被害届の提出や告訴等により、Aさんの行為を知った場合には、これを捜査することができます

 

 これに対して、AさんがBさんに対して、治療費や慰謝料をいつまでたっても支払わらない場合に、これをBさんが警察に相談をしても、これ自体は犯罪行為でもないため、警察は介入することができません。これを、警察の民事不介入といいます。

 

 

 

 上記の違いは、基礎的な知識として、押さえておいて損はないと思います。

 

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