- 1. ゲーム実況に潜むリスクとは?
- 2. 刑事罰の重さは?
- 3. 実際に逮捕された事例も
- 4. 注意されてすぐ消せば何とかなる?
- 5. 視聴者が少ないうちは問題ない?
- 6. みんながやっていればやっていい?
- 7. 逮捕されるとどうなるの?
- 8. 自宅や会社への捜索差押えの可能性
- 9. 最悪の場合刑務所に
- 10. この記事のむすび
1. ゲーム実況に潜むリスクとは?
最近YouTubeなどでよく見かけるゲーム実況。
その注目度や手軽さから、「ゲーム実況をやっている」「ゲーム実況をはじめたい」という方もたくさんいるかと思います。
そんな手軽さの一方で、「ゲーム」は、著作物法上の著作物であり、著作権法の保護を受けるものであり、無許可でゲーム実況を行えば、著作権侵害となります。
今回は、違法なゲーム実況を配信した場合の刑事的なリスクについて解説していきます。
2. 刑事罰の重さは?
著作権侵害は、①十年以下の懲役若しくは②千万円以下の罰金、又は③その両方が科せられます。
著作権法第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第二項、第三項若しくは第六項から第八項までの規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権(同項の規定による場合にあつては、同条第九項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第五号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第十項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第六号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ちなみに、身近な(?)犯罪行為と比べると、著作権侵害は決して軽い犯罪ではないことがわかります。
例えば、以下の犯罪と比べてみるとよくわかると思います。
・万引きの場合は、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる
・詐欺の場合は、十年以下の懲役に処せられる
・暴行の場合は、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられる。
刑法第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する
刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
3. 実際に逮捕された事例も
重罪とされる一方で、比較的心理的なハードルが低いのが著作権侵害で、インターネット上では、著作権侵害行為が横行しています。
しかし、近年、取り締まりを厳しくする傾向が見受けられ、実際に逮捕者も出ています。
動画サービスに関する事例だと、動画共有サイトに人気漫画4作品をアップロードした中学生が逮捕された事例や、ニコニコ動画に映画を無断アップロードして逮捕された事例があります。
無断転載に関する事例だと、ブログの記事を無断転載して逮捕された事例などもあります。
また、最近だと、鬼滅の刃関連で多数の逮捕者が出るなど、著作権関係の逮捕者は日に日に増加しています。
上記の例の他にも、報道されているだけで無数の取り締まりの例があり、報道されていないものを含めるとより多くの取り締まりが行われています。
「近年では、著作権法違反に係る刑事事件の数は民事事件の数よりも多」(愛知靖之ら著(2018年)、リーガルクエスト知的財産法、有斐閣、298頁)いという指摘もあり、裁判などで実際に問題となっているケースは日に日に増えているのです。
また、著作権侵害については、法定刑の厳罰化に加え、私的使用目的の映画の盗撮を刑事罰の対象にしたり(映画の盗撮の防止に関する法律)、ダウンロード行為も刑事罰の対象にする(著作権法119条第3項)、著作権侵害の一部非親告罪化(著作権法123条)など、度重なる法改正が行われ、この点からも厳罰化の傾向があるといえます。
4. 注意されてすぐ消せば何とかなる?
注意されたら消せばいい、と考えている人もいるかもしれませんが、消したからと言って、犯罪行為を行った事実は変わりません。
「通行人に殴りかかったけど、警察が来た時にやめたので、許してもらえた」などということがありえないのと同じです。
確かに、YouTubeなどの動画投稿サービスでは、ガイドライン違反を1度行っただけでは、いきなりアカウント削除がなされないような仕組みになっており、そういったことから「注意されてすぐ消せばよい」という錯覚を招いてしまうのかもしれません。
しかし、あくまでも動画投稿サービスとの関係であって、刑事罰との関係では、その理論は通用しないのです。
5. 視聴者が少ないうちは問題ない?
視聴者が少なく、視聴数が少ないのであれば問題ない、ということもありません。
これも、「一回だけなら人を殴っていい」なんてことがないのと同じです。
確かに、有名YouTuberが堂々と違法配信を行った場合と比べると、バレにくいということはあるかもしれません。
しかし、少数の視聴者が通報する可能性や、著作権者が取り締まりのために検索する可能性など、侵害行為が発覚する可能性は十分にあります。
また、YouTuber等のゲーム実況の配信者として成功したいのであれば、当然その配信を多くの人に見てもらいたいと考えるはずです。その意味では、有名になればなるほど、違法行為が発覚して問題になる可能性が上がっていきます。
6. みんながやっていればやっていい?
当然、みんながやっていればやっていいわけではありません。
他にやっている人がいる場合でも、あなただけが逮捕・起訴される可能性も十分にあり、みんなやっているからという理由で警察・検察が甘く見てくれる、ということもありません。
どんなに不公平だと思っても、違法行為を行った以上、あなただけが刑事罰を受けることとなっても、文句は言えないのです。
また、「この動画を無断転載している人は他にたくさんいる」と思っていたのに、実は同一人物が複数の投稿をしていた、ということもあり得ます。
更には、世の中には「身分も何もないし逮捕されたって問題ない」と考える人もたくさんいます。そういう人が違法行為をしているからといって、自分も安心してできるといえるでしょうか?
現実世界で犯罪行為を見かけたときに自分もやっても良いだろう、と思わないのであれば、インターネット上も全く同じはずです。単に匿名性や犯罪意識が希薄なためにそのような錯覚に陥ってしまうだけです。
7. 逮捕されるとどうなるの?
では、仮に逮捕されてしまった場合どうなるのでしょうか。
逮捕された場合、最長23日の間、捜査機関に身柄拘束をされることになり、起訴されて裁判になった場合には、更に長い間身柄を拘束されることになります。
また、場合によっては実名での報道をなされることもあります。
このように、長期間身柄拘束されたり、実名報道されると、学校を退学せざる得なくなったり、会社を退職せざるを得なくなるリスクがあります。
8. 自宅や会社への捜索差押えの可能性
また、逮捕の有無にかかわらず、自宅や会社などを捜索される可能性があります。いわゆる家宅捜索です。
要するに、違法行為の証拠を集めるために、自宅などをくまなく調べるわけです。
著作権関係で有名なものだと、2014年頃の「ハイスコアガール事件」と呼ばれる事件があり、出版社への捜索が行われています。
9. 最悪の場合刑務所に
運よく逮捕されなかったとしても、起訴され、刑事裁判で裁かれる可能性があります。
この場合、最悪の場合は、刑務所に行くことになりますし、有罪判決が出れば、実名での報道の可能性もありうるでしょう。
10. この記事のむすび
以上のとおり、そもそも犯罪であるという認識も薄く、手を染めやすい犯罪である一方で、著作権侵害は重大な犯罪行為であり、問題となってしまうと取り返しのつかないことになりかねません。
しかも、著作権侵害が適切に権利を守る動きは広がっているうえ、かつ警察における取り締まりも日に日に厳格化しています。
違法な動画配信ではゲーム実況者として成功することは当然できませんし、無用なリスクをとらないためにも、著作権侵害をしないように注意しましょう。
とはいえ、著作権侵害となることを恐れて、ゲーム実況をやめてしまう必要はありません。
要は、ゲーム実況を「適切に」行えばよいのです。
合法的にゲーム実況を行うためには何に気を付ければよいのかについては、以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみて下さい。