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【弁護士監修】ゲーム実況に潜むリスクを徹底解説。

手軽に始めることができて、かつ人気も高い「ゲーム実況」ですが、他者の権利侵害と隣り合わせであり、安易に始めると、痛い目を見ることになります。

今回は、ゲーム実況者、ゲーム実況を始めたい方向けに、ゲーム実況に潜むリスクをまとめてみました。

 

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1. ゲーム実況が違法な場合とは?

ゲーム実況とは、配信者がゲームをプレイしている動画を、配信者の実況付きで配信することを言い、一般にゲーム実況は、他者の著作物であるゲームを用い、他者の提供する動画投稿サービスを利用して行われます。

 

「ゲーム」は、著作物法上の著作物であり、著作権法の保護を受けるものであるため、ゲーム実況を行う場合、他者の著作物を利用することになり、著作権者に無断でゲーム実況を行えば、著作権侵害となります。

 

適法にゲーム実況を行うことができるケースは、以下の記事にまとめているので、参考にしてみてください。

 

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2. 違法なゲーム実況に潜むリスク

では、違法配信を行うとどのようなリスクがあるのでしょうか。

 

⑴ 刑事罰のリスク

 第一に、刑事罰のリスクがあります。

 

すなわち、著作権侵害は、①十年以下の懲役若しくは②千万円以下の罰金、又は③その両方が科せられます。

 

著作権法第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第二項、第三項若しくは第六項から第八項までの規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権(同項の規定による場合にあつては、同条第九項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第五号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第十項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第六号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

著作権侵害行為は、比較的安易に行うことができ、軽率に侵害行為を行ってしまう場合が散見されますが、上記の通り、刑事罰が定められており、その量刑は決して軽いものではありません。

 

よく聞く犯罪と比較してみても、軽いものではないことがよくわかります。

 

例えば、

強制わいせつ罪は、六月以上十年以下の懲役に処せられ、

未成年の略取誘拐罪は、三月以上七年以下の懲役に処せられ、

詐欺罪は、十年以下の懲役に処せられ、

恐喝罪は、十年以下の懲役処せられます。

 

刑法第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 

刑法第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

 
刑法第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

 

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

 

また、著作権などの知的財産の重要性は、国家戦略のレベルで日に日に重要度を増しており、今後法改正による対応や、取り締まりの強化などがなされる可能性は十分にあります。

 

また、インターネット上の権利侵害に対しては、企業、個人を含め、泣き寝入りせずに厳格に対応する流れもあり、著作権侵害についてもより厳格な対応を各著作権者が取ることも十分に考えられます。

 

実際に、著作権法違反で逮捕・起訴された事例もあり、ゲーム実況の違法配信も、その例外とはならないでしょう。

 

この点については、以下の記事により詳しく書いています。

 

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実際の逮捕事例なども示しているので、参考にしてみてください。

 

⑵ 民事責任のリスク

 第二に、民事責任を負うリスクがあります。

 

簡単に言えば、「あなたの違法配信で損害が生じたので、お金を払ってください」と言われたり、「あなたの違法配信は違法なので、差し止めます」と言われるリスクがあるということです。

 

損害賠償責任が認められた場合、賠償額を支払う必要があり、支払いを行わないと、資産が差し押さえられるリスクもあります。

 

刑事責任についても、民事責任についても、著作権者から文句を言われたときに、すぐに動画を消して謝罪をすれば問題ないだろう、などと安易に考えるべきではありません。

 

著作権侵害は無数にあり、一件ずつ対応すること自体、著作権者にとっては多大な負担になります。

 

多数の違法配信者を相手にしていると、「動画を削除したから許す」という対応をしていると、きりがない状態になってしまいます。

 

そこで、見せしめ的に刑事告訴や、民事訴訟を提起するという対応をとることも十分にあり得るでしょう。

 

なお、刑事責任と民事責任の違いについては、以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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⑶ アカウント削除のリスク

第三に、YouTubeであれば、YouTubeチャンネルの停止等の措置がなされる可能性があります。また、その他の動画投稿サービスでも、著作権侵害を規約違反としている場合がほとんどであり、最悪の場合アカウント削除に至る場合がほとんどでしょう。

 

こうなってしまうと、せっかく積み上げてきたものが一瞬にして消えてなくなってしまい、YouTuberとしては大きなリスクであるといえます。

 

⑷ 収益化ができなくなる可能性

第四に、収益化ができなくなる可能性があります。

 

アカウント削除の場合と同様ですが、何らかの犯罪行為や、規約に反した動画については、収益化の対象から除外する仕組みが取られていることがほとんどです。

 

また、後述するように、企業は企業イメージを重要視しており、こうした動画に自社の宣伝が表示されるのは通常嫌がります。

 

とすると、そのような動画に広告を表示しない選択を行えるような仕組みを構築したほうが、広告単価を上げられるものと考えられます。

 

迷惑系YouTuberの存在は世界的にも問題になってきており、今後、迷惑系YouTuberを含む、著作権侵害歴のある者の動画には広告を表示しないような仕組みが整ってきてもおかしくありません。

 

⑸ 企業案件を受けられなくなる可能性 

第五に、企業案件を今後受けられなくなる可能性があります。

 

企業は、広告宣伝のために、YouTuberやゲーム実況者などと提携し、広告料を支払うことがあります。

 

YouTuberや、ゲーム実況者として、収益を得て成功することを考える上で、企業案件は重要なものと言えるでしょう。

 

しかし、企業は、言うまでもなく「企業イメージ」を重要視しており、前科、逮捕歴のある者や、検挙歴のある者に対しては、企業案件を依頼しない可能性が極めて高いといえるでしょう。

 

企業が企業イメージを重要視しているのは、誰もが知ることかと思いますが、芸能人の不倫の例や、オリンピックの森会長の女性蔑視発言の例をとってみても、明らかです。

 

これらは、犯罪行為ではないものの、企業イメージを損なう可能性が高く、そのため、必要であれば、企業はスポンサーとしての出資を取りやめるのです。

 

ルールを守ってゲーム実況を行っているゲーム実況者は数多く存在し、著作権侵害行為を行っていたゲーム実況者に対して、わざわざ広告宣伝費を払って宣伝を依頼することは通常考えられません

 

「ばれなければいいだろう」と思っても、企業は通常広告宣伝費を投じる前に調査しますし、また、後々発覚したり、後々問題が発生した場合には損害賠償請求できるよう、契約上手当てがなされるのが通常です。

 

今のご時世、インターネット上にいつまでも情報は残り続けますし、ゲーム実況者として成功したいのであれば、法を守ることについては決して軽んじてはいけません

 

⑹ 違法配信者というレッテル

第六に、違法配信者というレッテルです。

 

「著作権者から文句を言われたときに、すぐに動画を消して謝罪をすれば問題ないだろう」などと安易に考えるべきではない理由は、もう一つあり、それが、「違法配信者というレッテル」です。

 

YouTuberであれば、登録者100万人など、有名になってお金を稼ぐことを目的としているはずです。

 

有名になると、過去の違法行為は、ずっとついて回ることになり、“元違法配信者”などというレッテルと貼られてしまうと、人気も収益も頭打ちになってしまうでしょう。

 

実際、そこそこ有名なTikTokerや、YouTuberでも、炎上を契機として、過去の悪事を指摘されているケースもあります。今後はより気を引き締める必要があるといえるでしょう。

 

3. この記事のむすび

このように、違法なゲーム実況を行うと、様々なリスクが伴います。

 

特に、今は合法的にゲーム実況を行う余地があるため、わざわざこのようなリスクを犯すメリットはほとんどないといえるでしょう。

 

合法的にゲーム実況を行える場合については、以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

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