多くの方が、収益化を目指してYouTubeで動画投稿をしているかと思いますが、YouTubeの収益化機能にはどのようなものがあるのか、またどのような要件で収益化ができるのかを詳しく知っていますか?
この記事では、YouTubeで収益を得る手段とその条件について解説していきます。
1. YouTubeの収益化機能の種類と概要
YouTubeの収益化機能には、広告収入、チャンネルメンバーシップ、Super Chat、Super Stickers、YouTube Premium、グッズ紹介があります。YouTubeでは、これらの機能を用いることで収益を得ることができます。
⑴ 広告収入
最も有名なYouTubeの収益化機能として、広告収入があります。これは、動画に広告を表示し、その対価として収益を得る仕組みです。
一般的に1再生あたり0.05円~0.1円程度といわれています。再生された時間やクリックされた場合など、広告の形式によって報酬の条件や金額は決まってくるようです。
広告には、①動画広告と、②バナー広告の二種類ががあります。
① 動画広告について
動画広告は、投稿動画に広告動画が挿入されるもので、「スキップ可能な動画広告(スキッパブル動画広告)」、「スキップ不可能動画広告(スキッパブル出ない動画広告)」、「バンパー広告」の3種類があります。
「スキップ可能な動画広告(スキッパブル動画広告)」は、動画の再生前、再生中、再生後に挿入することが可能な3分以内の広告で、広告再生開始から5 秒後に、ユーザーが任意にスキップすることができるものを指します。
「スキップ不可能動画広告(スキッパブル出ない動画広告)」は、動画の再生前、再生中、再生後に挿入することが可能な 20 秒以内の広告で、ユーザーがスキップすることができないものを指します。
「バンパー広告」は、 動画の再生前に挿入される 6 秒以内の広告で、ユーザーがスキップすることができないものを指します。
このように、それぞれ表示される場所や仕様が異なりますが、いずれも広告掲載の有無等をYouTube Studioでコントロールすることができます。
なお、上記のうち、再生中に表示する動画広告は、アップロードした動画が8分以上の場合のみ設定することができます。そして、再生中に表示する動画広告は、その表示するタイミングをランダムに設定することも、任意の時間に設定することも可能です。
また、動画広告は、広告が挿入されるタイミングによって、以下の名称で呼ばれることがあるので、押さえておきましょう。
プレロール広告 |
動画開始前に表示される動画広告 |
ミッドロール広告 |
動画の途中に表示される動画広告 |
ポストロール広告 |
動画終了後に表示される動画広告 |
動画広告に関する説明をまとめると、バンパー広告は、プレロール広告のみとなりますが、スキップ可能な動画広告とスキップ不可能動画広告は、プレロール広告、ミッドロール広告、ポストロール広告のいずれも選択することができます。ただし、ミッドロール広告が設定できるのは、アップロードした動画が8分以上の場合のみとなります。
② バナー広告について
バナー広告は、動画再生ページに広告画像が表示されるもので、「ディスプレイ広告」、「オーバーレイ広告」があります。
「ディスプレイ広告」は、動画の右側と、おすすめの動画一覧の上に表示されます。動画外に表示される広告であるため、YouTube Studioでコントロールすることができませんが、動画の収益としてカウントされます。
「オーバーレイ広告」は、動画の再生画面の下部 20% に重ねて表示される半透明の広告で、表示のタイミングや位置を、YouTube Studioでコントロールすることができます。
広告フォーマット
外観
説明
配信場所
仕様
ディスプレイ広告
動画の右側と、おすすめの動画一覧の上に表示
デスクトップ PC およびノートパソコンに配信
300x250 ピクセルまたは 300x60 ピクセルのイメージ広告またはテキスト広告
オーバーレイ広告
動画の再生画面の下部 20% に重ねて表示される半透明の広告
デスクトップ PC およびノートパソコンに配信
468x60 ピクセルまたは 728x90 ピクセルのイメージ広告またはテキスト広告
スキッパブル動画広告
動画の再生前、再生中、再生後に挿入される。広告の長さは 3 分以内で、5 秒後にスキップできる
デスクトップ PC、ノートパソコン、モバイル デバイス、テレビ、ゲーム機に配信
動画プレーヤー内で全画面表示
スキッパブルでない動画広告
動画の再生前、再生中、再生後に挿入される 20 秒以内のスキップできない動画広告
デスクトップ PC、ノートパソコン、モバイル デバイスに配信
動画プレーヤー内で全画面表示
バンパー広告
動画の再生前に挿入される 6 秒以内のスキップできない動画広告
デスクトップ PC、ノートパソコン、モバイル デバイスに配信
動画プレーヤー内で全画面表示
⑵ チャンネルメンバーシップ
チャンネルメンバーシップとは、ある特定のチャンネルに対して、視聴者が月額料金を払うことで、そのチャンネルのメンバーになり、メンバー限定の特典を得られるようになるサービスのことです。
視聴者はメンバーになることで、クリエイターを支援することができ、その見返りとして特典を得ることができます。
クリエイターが受け取れる金額は、YouTubeが実際に受けっとった金額の約7割程度といわれています。
メンバー限定特典は、チャンネル独自のバッジや絵文字、動画などがあり、クリエイターは、様々な特典を設定することができます。なお、メンバー限定特典はYouTubeの利用規約やポリシーを遵守している必要があります。
⑶ グッズ紹介
グッズ紹介機能とは、クリエイターのオリジナルグッズを、動画下部に表示されるグッズ紹介セクションやチャンネルホームページに表示される[ストア]タブなどに表示する機能のことです。
このグッズ紹介機能を利用することで、オリジナルグッズを紹介することができ、視聴者はそれらのグッズを購入することができます。
オリジナルグッズは、YouTubeが指定する業者のサービス上で販売されているものである必要があり、また、グッズ自体にも審査があります。現在、日本で利用できる業者のうち、メジャーなものは、SUZURIです。
⑷ Super Chat・Super Stickers
Super Chat(スーパーチャット)は通称スパチャと呼ばれ、いわゆる「投げ銭」機能のことで、YouTube Liveにおけるライブ配信中に視聴者がスーパーチャットを購入することで、自分のコメントを配信動画のチャット欄で目立たせることができる機能です。
YouTube Liveにおけるライブ配信中に視聴者がコメントと共に金額を設定することで、コメントと金額がチャット欄上部に目立つように表示されます。
視聴者の多いライブ配信などでは、大量のチャットがなされるため、通常のチャットを送信しても配信者の目に留まらずに流されてしまう可能性が高くなりますが、Super Chat機能を使うことで、配信者に読み上げてもらえる可能性が高まるため、人気配信者とのコミュニケーションツールとして、Super Chatが使用されます。
また、視聴者が少ないライブ配信でも、配信者への応援の趣旨などで、Super Chatが使用されることもあります。
Super Stickersは、スーパーチャット同様に、YouTube Liveにおけるライブ配信中に視聴者がSuper Stickerを購入することで、ステッカーやアニメーションを配信動画上に一定時間目立たせることができる機能のことです。
こちらは、ユーザー名とステッカーが表示されるだけなので、主として配信者への応援の趣旨のものとなります。
Super Chat・Super Stickersでクリエイターが受け取れる収益は、視聴者が支払った金額の訳7割程度といわれています。
⑸ YouTube Premiumの収益の分配
YouTube Premiumとは、YouTubeの月額制有料メンバーサービスです。
視聴者が、YouTube Premiumに加入すると、特典として様々な追加機能を利用することができるようになります。その追加機能の一つとして、YouTube Premiumに登録している視聴者が動画を再生した場合は、広告が表示されません。
YouTubeでは、動画再生時に表示される広告から得た収入の一部をクリエイターに分配していますが、YouTube Premiumに登録している視聴者が動画を再生した場合には、広告が再生されないため、広告収入が生じないこととなります。
そこで、YouTubeでは、広告収入の代わりに、YouTube Premiumの月額料金をクリエイターに分配しています。
この時分配される金額は、YouTube Premiumメンバーによる動画の再生時間に応じて決まります。また、この再生時間には、「オフライン動画再生」や「バックグラウンド再生」による再生時間も含まれます。
【YouTube Premiumの追加機能】
広告の非表示 | 動画の再生前後や途中などに表示され広告が表示されなくなります。 |
オフライン動画再生 | モバイルアプリに動画や再生リストを一時的に保存して、インターネットに接続されていないオフラインの状態でも動画を視聴することができます。 |
バックグラウンド再生 | モバイルアプリで他のアプリを利用しているときでも、YouTubeの動画を再生することができます。 |
YouTube Music Premiumの利用 | YouTube Music Premiumの機能を利用できるようになります。 |
YouTube Originals | YouTubeのオリジナル動画シリーズや映画などを視聴できるサービスであるYouTube Originalsにおいて、YouTube Premiumメンバー限定の動画を視聴できます。 |
2. YouTubeにおける収益化の要件
YouTubeの収益化機能を用いて収益化をしたい場合は、①YouTubeパートナープログラムに申し込み、審査に合格すること、②各収益化機能の個別の要件を充足すること、の2つの要件を満たす必要があります。
⑴ YouTubeパートナープログラムの審査に合格すること
YouTubeパートナープログラムとは、一定の条件を満たしているクリエイターがプログラムに申し込み、審査に合格することで利用できるようになるプログラムのことで、収益化や、クリエイターサポートチームへの問い合わせなどが可能になります。
そして、YouTubeパートナープログラムを利用するためには、YouTubeが定めている、一定の条件を満たす必要があります。その最小要件は以下の通りですが、特徴的なのは「チャンネル登録者1,000人以上かつ、過去12か月の動画総再生時間が4,000時間以上」という非常にハードルの高い条件でしょう。
利用資格の最小要件
- すべての YouTube の収益化ポリシーを遵守している。
- YouTube の収益化ポリシーとは、YouTube での収益化を可能にする一連のポリシーです。YouTube パートナーが YouTube で収益を得るには、YouTube パートナー プログラムのポリシーをはじめとする契約により、収益化ポリシーを遵守することが求められます。
- YouTube パートナー プログラムを利用可能な国や地域に居住している。
- 有効な公開動画の総再生時間が直近の 12 か月間で 4,000 時間以上である。
- チャンネル登録者数が 1,000 人以上である。
- リンクされている AdSense アカウントを持っている。
これらの条件を満たしたうえで、YouTubeパートナープログラムに申し込み、審査に合格すると収益化機能の利用が可能になります。
⑵ YouTubeの各収益化機能ごとの要件
YouTubeの収益化機能には、広告収入、チャンネルメンバーシップ、Super Chat、Super Stickers、YouTube Premium、グッズ紹介がありますが、以下の通り、それぞれの機能ごとに、その最小限の利用条件が定められています。また、以下の条件以外にも利用条件が設定されている場合もあるため、利用前に各機能の利用条件を確認しましょう。
要件 広告収入
- 18 歳以上である、または AdSense 経由での支払いに対応可能な 18 歳以上の法的保護者がいる
- 広告掲載に適したコンテンツのガイドラインに準拠したコンテンツを作成している
チャンネル メンバーシップ
- 18 歳以上である
- チャンネル登録者数が 1,000 人以上である
グッズ紹介
- 18 歳以上である
- チャンネル登録者数が 1 万人以上である
Super Chat と Super Stickers
- 18 歳以上である
- Super Chat を利用できる国や地域に居住している
YouTube Premium の収益
- YouTube Premium ユーザーに視聴されるコンテンツを作成している
この記事の結び
このようにYouTubeには複数の収益化機能が存在します。
これらの収益化機能を利用するためには、まず第一歩として、「チャンネル登録者1,000人以上かつ、過去12か月の動画総再生時間が4,000時間以上」という条件をクリアしなくてはいけないため、収益化へのハードルはなかなか高いといえ、ここで挫折してしまう人も多いでしょう。
もっとも、適切に積み上げていけば必ず達成可能なものだと思いますので、以下の記事なども参考にしてみてください。
また、YouTubeの収益化機能以外の方法による収益化も可能であるため、継続の観点からは、まずはYouTubeの収益化機能以外の方法による収益化を行ってみるのも一つの手です。