テレビ番組やYouTuberの動画には、動画上に文字や図などが入れ込まれていることがよくありますが、これをテロップといいます。
このテロップは、動画のクオリティを上げるうえで極めて重要な存在です。
そこで今回は、テロップがどうして必要なのか、テロップを入れる場合、どのような点に注意すべきかなどを解説していきます。
字幕やテロップを入れる目的
字幕やテロップを入れる目的としては、次の3つが考えられます。
① 見栄えが良くなる
② 視聴者の理解を補助する
③ 映像にメリハリがつき、テンポがよくなる
まず、①ですが、テロップや字幕を適切に入れると、作品のクオリティが上がりますし、色合いが適切であれば、映像として華やかになり、見栄えがよくなります。
次に②ですが、音声と字幕の両方で情報を認識させることで、視聴者は、音声をより聞き取りやすくなります。音声が聞き取りにくい場合や、内容が難しい場合などは必須と言えるでしょう。駆け出しのYouTuberの動画のうち、テロップ等が無いものを見てみると参考になるかもしれません。
最後に③ですが、字幕やテロップを効果的に入れることで、情報に強弱をつけることで、メリハリがつき、テンポをよくすることが可能です。バラエティ番組を参考にしてみるとよくわかると思います。テロップを駆使してかなりメリハリをつけ、テンポ感を出しています。ニュース番組と見比べてみるとよりよくわかります。
字幕・テロップを入れる際の注意点
① 色に注意する
テロップを入れる際は、背景色を意識して読みやすい色を選択するようにしましょう。
「動画全体を通して白い文字」といったテロップの入れ方をしてしまうと、暗いシーンや、暗い部分の上に表示されたテロップは読みやすいですが、明るいシーンや、明るい部分の上に表示されたテロップは読みにくくなります。
以下の写真の例だと、テロップ①やテロップ③は、読むことができますが、テロップ②は、黒い部分がかぶってしまい、読めなくなってしまっています。
また、上記のテロップ①の右端や、テロップ③のように、テロップの背景がごちゃごちゃしていると、テロップも読みにくくなります。
こういう場合は、
文字に影をつける
文字を別の色で縁取りする
テロップ自体に背景をつける
などの工夫をすると、読みやすくなります。
以下の写真は、影をつけた例と、背景を付けた例です。
また、文字に影をつけたり、縁取りする際の色の組み合わせは、明るい色と暗い色を組み合わせると良いでしょう。
明るい色と暗い色と分けることで、文字本体がより目立ちます。
② サイズに注意する
サイズにも気を配りましょう。
まず、スマホなどの小さい画面で見た場合や、多少画質を落として視聴する場合などでも、読むことができる文字サイズであることが必要です。
反対に、文字が大きすぎると、映像本体を邪魔してしまい、かえって見にくくなります。
そのため、適切な文字サイズにする必要があります。YouTuberの動画や、テレビ番組等をみれば、イメージがつかめると思います。
また、すべての文字サイズを統一する必要はないので、強調したい部分や固有名詞について、色やサイズを変更するなど、セリフや単語の重要性に合わせて文字サイズを変えるという手法もよく用いられています。
③ 位置に注意する
あくまでもテロップは、補助的な役割です。
そのため、映像本編を見るうえで邪魔になってしまうような位置にならないよう注意しましょう。
また、映像の縁ぎりぎりに表示してしまうと読みにくくなりますし、再生する媒体によっては、うまく表示されないこともあり得ます。
このように、テロップの表示位置についても気を配るようにしましょう。
④ タイミングに注意する
出演者のセリフを書き出すタイプの字幕やテロップは、あくまでも音声の認識を補助するものです。
そのため、タイミングを、音声と一致させる必要があります。話始めと話し終わりを完全に一致させる必要はありませんが、違和感を覚えさせないタイミングで表示させないと、不快感を与える可能性があります。
最初のうちは、話始めを一致させ、話し終わってからも少し表示させるイメージでやってみましょう。
また、認識を補助するものであることから、きちんと読める時間だけ表示させる必要があります。
表示時間との関係では、テロップを表示するセリフのまとまりを考えることも大切となってきます。
例えば、
「今日のご飯はマツタケご飯です!」
と表示するのと、
「今日のご飯は」
「マツタケご飯です!」
とわけるのでは、表示時間が変わります。
長さを重視すれば、つなげることになりますし、テンポを重視すれば、切ることになります。また、「マツタケご飯」を強調するために、後者の切り分け方とするなど、映像の魅せ方にも大きくかかわる部分となります。
ただ、最初のうちは、「表示時間を長めにすること」を意識するとよいかと思います。あくまでも主眼は、「聞き取りやすさ」の向上のための補助的な機能であると認識しておきましょう。
⑤ フォントにも気を遣う
テロップは、映像全体のイメージにかかわる部分です。
どんな動画にしたいのかを考えながら、どんなフォントを使うのかについても気を遣うようにしましょう。
例えば、以下の例を見てみましょう。
イメージが全く異なりませんか?
この例だと、感動させたいなら上のフォント、コメディチックにしたいなら下のフォントになるでしょう。
⑥ 写真やイラストを効果的に使う
写真やイラストも効果的に使いましょう。
文字情報よりも、画像やイラストのほうが効果的な場合もあります。
チームで動画作成する場合、テロップに顔写真を入れてわかりやすくしている例などもあります。こうすることで、顔を覚えてもらいやすくなりますので、一石二鳥です。
⑦ 労力をかけすぎない
色々書きましたが、あまり労力をかけすぎないというのも大切です。
テロップに時間をかけすぎて動画投稿が滞ってしまっては本末転倒です。
特に、最初の頃はスピードもある程度重視するべきです。
どんなテロップを入れればいい?
① セリフを書き起こす
まずは基本として、セリフを書き出してみましょう。
② 要約してみる
話が込み入っている場合や、登場人物がうまく説明できていないときなどは、全文書き起こすのではなく、要約して、あえて簡潔に記載するというのも一つの手法です。
③ 突っ込みを入れる
動画にテロップで突っ込みを入れることで、コミカルな仕上がりにすることができます。
バラエティ番組などではよく用いられている手法ですし、YouTuberもよく使っている手法です。
④ 補足説明を入れる
補足説明は、様々なものがありえますが、例えば、用語説明やルール説明を動画内で説明すると、動画の尺が長くなってしまうので動画内では説明せずに、テロップに収めてしまうことで、動画の尺を短くする、という用い方があります。
また、同様に、動画内で紹介した商品について、口頭で説明すると長くなりすぎる場合に、商品の詳細(歴史や背景、値段等の説明)をテロップに押し込めてしまうという用い方もあります。
単純に、撮影時に説明しきれなかったものを、編集時に追加で説明する、ということもあるでしょう。
⑤ 忘備のためのテロップ
込み入ったルールの説明や、場面の説明など、視聴者がいつでも参照できるように、動画中ずっと画面上に表示しておく、といった使い方もあります。
上記では基本的なことを説明しましたが、字幕やテロップの使い方は無限大です。
そして、字幕やテロップについても、テレビ番組や有名YouTuberの動画など、研究の素材はたくさんあります。
ぜひたくさん研究して、自分なりのルールを追及してみてください。
参考になる例として、だいにぐるーぷさんのこちらの動画を挙げておきます。
登場人物が多いうえに、ルールや状況が少々込み入った内容ですが、かなり理解しやすいようにうまくテロップが用いられており、かなり参考になると思います。動画そのものも面白いので、ぜひ見てみてください。